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先週、気になった本 滝川クリステル、梅谷庄吉 [現代]

 地震、津波、原発、放射能関連の記事が世の中にあふれている中で、先週はこんな本が目にとまった。

まずは、美貌でCMにも多く出演しているフリーアナの滝クリ。英語、フランス語に通じた才媛でもある。


恋する理由 私の好きなパリジェンヌの生き方

恋する理由 私の好きなパリジェンヌの生き方

  • 作者: 滝川 クリステル
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/04/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


◇内容紹介
(著者より)
 本書は、フランスと日本のダブルアイデンティティとして生まれた自分自身の人生観や、パリに暮らすフランス女性たちの自由な生き方を知ってもらうことで、ルールを大切にする日本女性の悩みや迷いを解決するきっかけになればという思いで執筆させていただきました。
 そして、少しだけ気持ちに「ゆとり」ができて、女性として生まれてきたことを、心の底から楽しんでいただければ嬉しく思います。
 私のおしゃれ術やデコルテ美容、オーガニックなパリ案内もお楽しみください。


生き物たちへのラブレター 生物多様性の星に生まれて (小学館SJ・MOOK)

生き物たちへのラブレター 生物多様性の星に生まれて (小学館SJ・MOOK)

  • 作者: 滝川 クリステル
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/10/08
  • メディア: ムック


◇内容説明
 滝川クリステル初の写真集&対談集

キャスター滝川クリステルさんは、「地球生き物応援団」の一員として名古屋で開催される生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)の広報役も務める。かつてブラジルで開かれた地球サミットで、わずか12歳のセヴァン・スズキさんが「直しかたがわからないものを壊し続けるのをどうかやめてください」と訴えたことに感銘を受け、環境問題に強い関心をもったからだ。そんな彼女が、生物多様性の理解を広めるため、初出版として、自ら熱帯雨林と識者を取材してつづる写真集+対談集。ボルネオの熱帯雨林で撮り下ろされた写真の数々は、絶滅の危機に瀕した生き物たちと、人々の必死の保護活動、そしてひとりのジャーナリストの温かいまなざしを記録する。また「奇跡のリンゴ」の木村秋則氏、さかなクン、生物多様性条約事務局長アフメド・ジョグラフ氏らとの対談では、生物多様性とはなにかが、わかりやすく解き明かされる。


 次は、歴史教科書で名前が出てくる「孫文」と「辛亥革命」。しかし、この言葉に大きく日本人が関わっていたとの記述は記憶がない。その日本人の一人が梅谷庄吉、今の貨幣価値に換算して、一兆円とも二兆円ともいわれる私財を投じたという。筆者は、梅谷庄吉の曾孫にあたる。


革命をプロデュースした日本人

革命をプロデュースした日本人

  • 作者: 小坂 文乃
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/11/17
  • メディア: 単行本


◇内容紹介
 孫文の革命へ2兆円を捧げた日本人がいた!
勃興期の映画産業で築いた巨万の富を、梅屋庄吉は惜しげもなく孫文へ捧げた。二人の盟約とは?梅屋の死後、公開が禁じられていた資料が、曾孫により陽の目を見る 。



孫文の辛亥革命を助けた日本人 (ちくま文庫)

孫文の辛亥革命を助けた日本人 (ちくま文庫)

  • 作者: 保阪 正康
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/08/10
  • メディア: 文庫


◇内容(「BOOK」データベースより)
 清朝末期の混乱の極みにあった1911年、中国初の近代革命となる辛亥革命が起こる。その義挙成功の陰には、アジア解放の夢のもとに、革命の指導者・孫文を助けようと一身を賭した多くの日本人がいた。義によって時代を駆け抜けた孫文と宮崎滔天、山田良政・純三郎兄弟の活躍を軸に、日中にまたがる人間交流を緻密に描いたノンフィクションの傑作。

『もしドラ』、2010年を代表するビジネス書に選出 [現代]

 「ビジネス書大賞2011」の大賞に、①『ストーリーとしての競争戦略』(楠木建/著、東洋経済新報社/刊)と②『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海/著、ダイヤモンド社/刊)が選ばれ、優秀賞に①『働く君に贈る25の言葉』(WAVE出版/刊)、②『そうか、君は課長になったのか。』(WAVE出版/刊)が選ばれた。
 以下に新刊JPニュースの記事を全文掲載する。

 『もしドラ』、2010年を代表するビジネス書に選出
 新刊JPニュース 2011年04月22日 22時配信

 2009年11月から2010年12月に出版されたビジネス書を対象に、その年を代表するビジネス書を選出し、表彰する「ビジネス書大賞2011」が発表され、大賞に『ストーリーとしての競争戦略』(楠木建/著、東洋経済新報社/刊)と『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海/著、ダイヤモンド社/刊)の2作品が選ばれた。
 また、最優秀著者賞として『働く君に贈る25の言葉』(WAVE出版/刊)、『そうか、君は課長になったのか。』(WAVE出版/刊)の2冊が評価された佐々木常夫さんが選出された。

 『ストーリーとしての競争戦略』は2010年4月に刊行された、500ページの本格経営書。大きな成功を収め、その成功を持続している企業は、戦略が流れと動きを持った「ストーリー」として組み立てられているという点で共通していると指摘する。
 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』は言わずと知れた2010年の出版業界を代表するベストセラー作品。昨年末にはオーディオブック版が「オーディオブックアワード2010」を獲得、アニメ化や映画化なども含め、出版から1年以上経過した今でも話題を集めている。

 今回のビジネス書大賞の詳しいランキングや選評は、4月26日発売の『このビジネス書を読め! ビジネス書大賞2011』(ビジネス書大賞実行委員会/著、ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)に掲載されている。良いビジネス書は、どの本も時代を超えて通じる示唆を与えてくれる。ビジネス書にあまり馴染みがない人もこの機会にビジネス書に触れてみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部/金井元貴)


ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

  • 作者: 楠木 建
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2010/04/23
  • メディア: 単行本




もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

  • 作者: 岩崎 夏海
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2009/12/04
  • メディア: 単行本




働く君に贈る25の言葉

働く君に贈る25の言葉

  • 作者: 佐々木 常夫
  • 出版社/メーカー: WAVE出版
  • 発売日: 2010/10/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




そうか、君は課長になったのか。

そうか、君は課長になったのか。

  • 作者: 佐々木 常夫
  • 出版社/メーカー: WAVE出版
  • 発売日: 2010/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




マネジメント - 基本と原則  [エッセンシャル版]

マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]

  • 作者: P・F. ドラッカー
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2001/12/14
  • メディア: 単行本




マネジメント信仰が会社を滅ぼす (新潮新書)

マネジメント信仰が会社を滅ぼす (新潮新書)

  • 作者: 深田 和範
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/12
  • メディア: 単行本



最近、気になる原発本、放射能 [現代]

 最近の絶対注目本は、原子力発電所の安全性に関する本と放射能に関する本である。この分野は、本の主旨が読む前から、著書の略歴を見れば、原発に関しては、〝推進派〟か〝反対派〟かの論調が推測できる。逆に言えば、読んでもわかり易い。放射能に関しても、自然界、健康診断等のレントゲン被曝を例に挙げ、健康に影響ないという論調と、長年にわたる微量の被曝であっても遺伝子レベルへの影響があり、健康に影響ないとは言い切れないという論調である。

 さて、ここで起きた福島第一原発の放射性物質の放出が起きた。これは、過去の原発事故(スリーマイル、チェルノブイリ)でも放出は起きたが、すぐにその放出は止められた。しかし、福島の場合は、いまだ放出し続けていて、放出を停止させるまでどのくらいの時間がかかるのかも発表されていない。いや予測不能のためはっぴょうできなんと考えた方がいい。そして、福島の状況は、1950年代に現在の核兵器保有国が、大気圏、特に南太平洋諸島で核実験を繰り返し、放射性物質をバラマキ散らした状況に似ている。
 しかし、違う点が一点だけある。核実験にしても、病院でのレントゲンでの被曝にしても、放射線量は人間がコントロールできたという点である。福島は現在、放射線量を全くコントロールできない状況にあるということが、全く違う次元の被曝体験となりつつあるということ。これが、今後どのような影響を及ぼすか誰も予測不能の状況にあるということである。
 政府、東電、保安院の〝ノーテンキ〟な発表内容を信用することはできないのである。


日本の原発危険地帯

日本の原発危険地帯

  • 作者: 鎌田慧
  • 出版社/メーカー: 青志社
  • 発売日: 2011/04/10
  • メディア: 単行本


◇内容紹介
 2011年3月11日14時46分、「関東東北大震災」が発生、マグニチュード9.0。
 16年前の1995年1月、阪神淡路島地区に壊滅的な打撃を与えた大地震の、およそ1千倍もの巨大なエネルギーが、大津波となって太平洋岸・岩手、宮城、福島の海岸線に襲いかかった。死者・行方不明3万、歴史的大惨事となった。  かつて、1896(明治29)年、三陸沖大地震では、津波の高さが32・2メートル、死者2万2千人となった。今回はそれに匹敵する悲劇をもたらした。が、そのときにも、阪神淡路大震災のときにもなかった異常事態が、より大きな悲惨を引き起こした。福島第一原発の炉心溶融事故である。

 原子炉からでている水の放射性物資は、炉内の一万倍といわれている。ヨウ素131が千三百万ベクレル、セシウム137が三百万ベクレルなどと、素人にはにわかに判断できない汚染度である。電源喪失すると、どんな事態になるか、米では三十年も前にシュミレーションを行っていたが、日本は無視していた。原発は安全だ、といいつづけてきた日本政府は、科学的に、というよりも人間的な対応をせず、ついにシュミレーション通りの大事故となった。無知、無責任による人災であり、責任者の刑事責任は免れない。IAEA(国際原子力機関)の指摘によれば、避難対象になっていない「四十キロ圏内」の汚染は、避難基準の二倍に達している、という。国際基準よりも日本が緩やかなのは、人権感覚のちがいでもある。


原発暴走列島

原発暴走列島

  • 作者: 鎌田 慧
  • 出版社/メーカー: アストラ
  • 発売日: 2011/05/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


◇内容紹介
原発の、何が本当なのか? 日本はどうなってしまうのか? 30余年、原発反対を訴えてきたルポライター・鎌田慧が今こそ吠える! 福島だけではない、日本全国で起こりうる原発事故。 過去からの丹念な取材をもとに書いた、日本の明日を憂う緊急出版。


原子炉時限爆弾

原子炉時限爆弾

  • 作者: 広瀬 隆
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/08/27
  • メディア: 単行本


◇【内容紹介】
 地球温暖化対策のもとで、原発がクリーンエネルギーとして脚光を浴びている。原爆材料プルトニウムを大々的に利用するプルサーマル発電が開始され、ナトリウム火災事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」が14年の冬眠をへて運転再開。さらに政府が閣議決定した「エネルギー基本計画」では、2030年までに原発14基以上を新増設し、現在60%台まで急落している原発稼働率を90%まで引き上げる方針を掲げている。

 エコの名の下で、日本人は疑問を抱くことなく電力会社の宣伝文句に踊らされているが、日本の原子力産業が突進しようとしている未来には、とてつもなく巨大な暗黒時代が待ち受けている。その正体こそ、地球の地殻変動がもたらす「原発震災」の恐怖である。

 スマトラ島沖地震、四川大地震、新潟県沖地震等々は、刻々迫る東海大地震の予兆である。この日本列島に阪神大震災をはるかに上回る巨大地震が襲うのは確実で、そうなれば浜岡をはじめとする原発が大事故を起こし、首都圏崩壊、さらには日本全土が壊滅するおそれが高い。

 本書では、原子力発電の危険性と地震発生のメカニズムを科学的・論理的に解明するとともに、プルサーマル発電、高速増殖炉「もんじゅ」、高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題など、原子力産業の現状と欺瞞を明らかにする。


隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ

隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ

  • 作者: 小出 裕章
  • 出版社/メーカー: 創史社
  • 発売日: 2011/01
  • メディア: 単行本


◇著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
 小出 裕章
 1949年東京生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒、同大学院修了。1974年に京都大学原子炉実験所助手になる。2007年4月から教員の呼称が変わり、現在は助教。専門は放射線計測、原子力安全。伊方原発訴訟住民側証人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策

放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策

  • 作者: 古長谷 稔
  • 出版社/メーカー: 三五館
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本


◇出版社/著者からの内容紹介
 地震で原発がクラッシュしたときの放射能汚染をレポートした、2006年の本です。
 残念なことに、今という時代が、この本に追いついてしまったのかもしれません。
 最低限の備えを、消費者の安全を守るために設立された「NPO法人・食品と暮らしの安全基金」が責任をもって記しております。
 緊急重版です! ぜひ一冊、お手元に置いておかれますように。


原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告

原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告

  • 作者: 新潟日報社 特別取材班
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/01/31
  • メディア: 単行本


◇内容(「BOOK」データベースより)
 2007年7月16日、中越沖地震によって東京電力柏崎刈羽原発で動いていた原子炉がすべて止まった。設計時の想定を大幅に上回る激しい揺れに襲われ、広範囲な被害やトラブルが続発。「安全神話」が大きく揺らいだ。世界最大の原発集積地で起きた非常事態は何を意味するのか。深く検証し、断層が走る地震国・日本の「原発」を考える。2008年度日本新聞協会賞、日本ジャーナリスト会議・JCJ賞をダブル受賞。

最近、気になる本、津波、ラジオ、猫、野球 [現代]

 東日本大震災は本にも大きな影響を与えた。津波、地震、原発、放射線の本が本屋さんの一番目立つとこにおいてある。いやでも目にとまるが、最近の興味は違うところにある。 

 最初はなんといっても津波だ。


津波災害――減災社会を築く (岩波新書)

津波災害――減災社会を築く (岩波新書)

  • 作者: 河田 惠昭
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/12/18
  • メディア: 新書


◇内容紹介
 いまだ記憶に新しいスマトラ沖地震津波。巨大地震発生帯に位置する日本列島も、同様の津波に襲われる可能性が十分にある。来るべき大津波に、どう備えるか。重要なのは、被害をいかに最小限におさえるかという「減災」の視点だ。災害研究の第一人者である著者が、津波減災社会の構築へ向けた具体的施策を示す。
 今回の東日本大震災での津波は、この本の想定以上の規模であり、一部防災対策施設はほとんど機能しなかった事実はあるが、1000年に一度の震災では致し方ないかもしれないが、次の災害に生かせる助言は豊富にある。冒頭での津波への警告は、あまりにも的中しているので驚いた。


三陸海岸大津波 (文春文庫)

三陸海岸大津波 (文春文庫)

  • 作者: 吉村 昭
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/03/12
  • メディア: 文庫


◇内容(「BOOK」データベースより)
明治29年、昭和8年、そして昭和35年。青森・岩手・宮城の三県にわたる三陸沿岸は三たび大津波に襲われ、人々に悲劇をもたらした。大津波はどのようにやってきたか、生死を分けたのは何だったのか―前兆、被害、救援の様子を体験者の貴重な証言をもとに再現した震撼の書。


超巨大地震がやってきた―スマトラ沖地震津波に学べ

超巨大地震がやってきた―スマトラ沖地震津波に学べ

  • 作者: 木股 文昭
  • 出版社/メーカー: 時事通信出版局
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 単行本


◇出版社/著者からの内容紹介
 私たち名古屋大学環境学研究科で地震学、社会学、地
理学、経済学、心理学の研究者は2004年スマトラ地震津波の最大の被災地アチェの現地に数回にわたり飛んだ。そして、地震津波の破壊過程、津波の災害、災害からの復旧と復興過程を現地の研究者と見つめてきた。なぜ超巨大地震が発生したか、いかなる被害だったか、、いかに復旧と復興に取組んでいるかについて、現時点で報告する。とりわけ、人々が国も州も市も十分な政策がないなかで復旧と復興に取組み、しかも和平協定を実現させたアチェの人々の行動には注目したい。「発展途上国の被害さ」では片付けられないものを感じ、出版を決意した次第である。


 計画停電で注目されたモノにラジオがある。そこで最新のラジオ本を2冊。


ラジオの魂

ラジオの魂

  • 作者: 小島 慶子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2011/03/18
  • メディア: 単行本


◇内容紹介
 世の中って捨てたもんじゃないよ! TBSラジオの人気番組『小島慶子キラ☆キラ』のメインパーソナリティが語り下ろしたラジオの魅力。いまラジオがメチャクチャ熱いし面白い!



ラジオは脳にきく[プレミア健康選書]―頭脳を鍛える生活習慣術

ラジオは脳にきく[プレミア健康選書]―頭脳を鍛える生活習慣術

  • 作者: 板倉 徹
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2011/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


◇内容(「BOOK」データベースより)
 「テレビ、パソコン、ケータイ、スマートフォン…視覚情報ばかりでは脳がダメになる!」―ラジオを聴いているときの“場面想像”で脳全体が活性化する―など、無理なく継続でき、能力向上、記憶力アップ、脳の若返り、認知症の予防などにも効果抜群なシンプル生活のすすめ。

 堅いお話では疲れるので、気になる猫本をさがすと、


吾輩は看板猫である

吾輩は看板猫である

  • 作者: 梅津 有希子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/03
  • メディア: 単行本


◇内容(「BOOK」データベースより)
 ちょっぴりメタボな青果店のアイドルから、ネクタイ締めて毎朝9時出勤の工具店の社長まで、すべて店番が仕事の猫ばかり。のんびり&脱力系猫フォトブック。

 次は球春を祝して最新の野球本を2冊。


田中将大 〜若きエース4年間の成長〜

田中将大 〜若きエース4年間の成長〜

  • 作者: TBS『S★1』田中将大取材班
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/03/23
  • メディア: 単行本


◇内容説明
 田中将大投手の本音、成長の過程が一冊に!
「マー君」の愛称で親しまれている、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手。デビューから4年間で46勝を挙げ、若きエースとしてチームを引っ張っています。その田中投手をデビュー前から継続的に取材している番組がTBSテレビのスポーツニュース総合番組「S★1」。番組が伝え続けた田中投手のプロでの4年間を一冊の本にまとめました。田中投手の素顔、本音、4年間の成長とプライドなど、本当の姿が詰まった一冊。必読です。


日本人メジャーリーガー 一流の条件 (ベスト新書)

日本人メジャーリーガー 一流の条件 (ベスト新書)

  • 作者: 大橋 巨泉
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2011/03/09
  • メディア: 新書


◇出版社/著者からの内容紹介
 野茂英雄以降、41人の日本人野球選手が海を渡り、MLB(メジャーリーグベースボール)に挑戦した。イチローはじめ、米球界に屈指の記録を残した選手もいるが、期待を裏切り、数年から1年で日本に戻ってきた選手も多い。何が彼ら、サムライたちのメジャー体験を分けたのか。どのような選手が通用し、どのような選手が通用しなかったのか。
 かつて、「大リーグ」は日本人には手の届かない「本場」だった。いま21世紀に入って、それは決してかつてのような場所ではないのかもしれない。しかし、日本球界で堂々たる成績を残した並みいるツワモノが挑戦して、決してラクラクとは成功できない厳しい世界であることは、いまも変わらぬ厳然たる事実なのだ。
 本書は、通算60年の長きに渡り、MLBを見続けてきた著者が、その長いMLB観戦史の総決算として、日本人メジャーリーガーたちへ渡す、ときに厳しく、ときに心優しい通信簿である。

図書館ねこデューイのもう一つの奇跡 [ノン・フィクション]

 前回は図書館ネコとして関わった人々に与えた〝癒し〟の奇跡を中心に紹介したが、実はもうひとつ大きな奇跡をこの図書館のあるオハイオ州のスペンサーという街の〝町おこし〟に大きく貢献したという話である。

 スペンサーの街の経済は、周辺の農業に大きく依存していたが、1980年代に農業危機が起きる。小規模農業が立ち行かなくなり、農業を廃業する人や、農地を安く大手農業事業者に売らざるを得ない状況となったのである。スペンサーは、農業従事者の金融は消費によって成り立っていた基盤が大きく崩れていったのである。1989年になっても、スペンサー市内では一軒の建築許可も申請されなっかった。一軒もだ。死にかけている街に、誰もお金をつぎ込みたくなかったのだ。

 そして図書館には、解雇された工場労働者、破産した小規模事業主、仕事のない農場労働者が訪れた。
その頃のデューイについて、次のように記述している。

『そこにデューイが登場したのだ。それがターニングポイントだったと、ことさら強調はしたくない。というのも、デューイは誰かを飢えたから救ったわけではないからだ。仕事を提供したわけでもない。経済状況を変えたわけでもなかった。だが、つらい時代で最悪のことは、精神に及ぼす影響だ。つらい時代はエネルギーを奪い取ってしまう。思考を占領してしまう。生活のすべてに影響力をふるう。悪いニュースはかびたパンと同じぐらい毒だ。少なくとも、デューイは気晴らしになった。
 だが、彼はそれ以上の存在だった。デューイの物語はスペンサーの人々の心を揺さぶった。みんなが共感を覚えた。みんなが銀行によって、図書館の返却ボックスに放り込まれたようなものなのではないだろうか? 外部の経済力によって。
(中略)
 そこに、凍えるような返却ボックスに放り込まれた野良猫が登場する。おびえ、一人ぼっちで、必死で生きようとしている。暗い夜を生き延びると、その恐ろしいできごとは彼にとって生涯最高のできごとに転じた。どんな状況にあっても、彼は信頼を失ったことも、人生に対する感謝を忘れたこともなかった。彼は謙虚だった。いや、謙虚というのはふさわしい言葉ではないかもしれない-だが、傲慢ではなかった。自信は持っていた。死に直面した者ならではの自信だろう。生の終わりに近づき、希望を捨て、そしてまた生還したときにみいだす静穏さ。デューイと出会った瞬間にわかったのは、彼がどういうことであれ、うまくいくと信じていることだった。
 そして彼がそばにいると、他の人間もそう信じる気になった。
(中略)
 彼の関心の対象は人間だった。図書館に利用者がいると、デューイはまっすぐその人に近づいていく。そして相手のひざに飛びのるのだ。たびたび払いのけられたが、拒絶されてもくじけなかった。デューイは寝そべるひざと、なでてくれる手を求めては、いろいろなひざに飛び乗りつづけた。すると状況が変わりはじめたのだ』

 どのように変わったかは、本書を読んでほしい。

 さてスペンサーの街の状況にもどる。
『わたしたちのダウンタウンは1931年の火事の遺産だが、1980年代の農業危機の遺産でもある。厳しい時代のときは、力をあわせるか、ばらばらになるか、どちらかだ。家族、町、さらに人々についても、それはあてはまる。1980年代末、スペンサーは再び、一致団結した。そして、グランド・アベニューの商店、その多くは1931年に祖父母によって経営されていたものだが、その商店経営者たちが市をもっとよくしようと決意したときに、再び内部から変革が起きたのだ。地域社会に全くお金がないように思えたときですら、宣伝に大金を払った。
 ゆっくりと進歩の輪が回り始めた。地元の夫婦が町でもっとも大きく、歴史的な建物、<ザ・ホテル>を買いとって改装にとりかかった。その荒れた建物はめざわりで、住民共通のエネルギーと善意を消耗させた。それがいまや誇りの中心で、古きよき時代の再来を期待させるものになった。グランド・アベニューの商業地区では、店主たちが新しいウィンドウ、もっとりっぱな歩道、夜の催しにお金をだした。彼らはスペンサーにもうすぐ最高の時期が訪れると信じていたのだ。人々がダウンタウンにやってきて、音楽を聴き、新しい歩道を歩いたとき、彼らもそう信じた。そして、それでも十分でなければ、ダウンタウンの南のはずれで三番街通りをちょっと曲がると、清潔で暖かな新装の図書館があった。』

 という町を著者は計画したという。しかし財政逼迫の市議会では図書館を新装するための予算は難航した。その状況を救ったのがデューイだった。
『1988年の夏までには、スペンサー公共図書館は目に見えて変わった。利用者数が増えた。人々は以前よりも長時間館内で過ごすようになった。幸せな気持ちで帰って行き、その幸福感は家庭に、学校に、仕事場に持ち帰られた。さらにすばらしいことはに、人々は図書館の話をさかんにするようになった。』
結局、予算はつかなかったが、基金をつのるなら市議会は協力するというたいした申し出ではなかったが、長い長い歳月で、それは図書館が市から得た最大の援助だった。

 尚、デューイの生活すべての費用、餌代も含めて、筆者のポケットマネーから支出されたものであることを書き添えておく。市から金銭的な支援は一切なかったのである。
 
 デューイが「アイオアの有名な図書館ねこ」として、マスコミに取り上げられ、知名度があがると、
『スペンサーでは、デューイのことを忘れていた人々や、彼にまったく興味を示さなかった人々も関心を向け始めた。<シスターズ・カフェ>の常連ですら、注目するようになった。最悪の農場危機が一段落して、市の指導者たちは新しいビジネスを誘致する方法を探していた。デューイはうれしいことに全国的に名前がでるようになり、当然、そのエネルギーと興奮は町に影響を及ぼした。確かに猫を理由に工場を建てる人間はいなかったが、きいたこともない町に工場をつくることもなかった。またもや、デューイはスペンサーだけでなく、もっと大きな世界で、アイオワのトウモロコシ畑の向こうで、その役割を果たしていたのだ。
 だが最大の変化は誇りだった。デューイの友人たちは彼を誇りに思っていた。』
 その友人たちのクチコミによって、猫に関心ある様々な人々が遠方からデューイに会いに図書館を訪れることになったのである。

『誇り。自信。この猫、この図書館、この経験、おそらくこの町が特別だという確信。デューイは<<カントリー>>の記事がでたあとも、ことさら美しくなったり愛想よくなったりしなかった。名声は彼はまったく変えなかった。デューイが望んだのは、昼寝のできる暖かい場所、開けたばかりの缶詰、スペンサー公共図書館に足を踏みいれるすべての人々からの愛情と関心だけだった。だが同時に、デューイは変わった。なぜならいまや人々は前とはちがう目で彼をみたからだ。』

 しかし、スペンサーの誰もがデューイのことを大切に思っているわけではないことを著者は承知していた。
『彼らはデューイが新しい仕事をつくっていないといっているのだ。デューイは定期的に国内の雑誌、新聞、ラジオに登場している。だが彼は市立公園を改善しているわけではない。道を舗装するわけでもない。新しいビジネスを誘致しにでかけているわけでもない。最悪の農業危機は過ぎた。士気があがりつつあった。スペンサーにとって、大きく羽ばたき、轍(わだち)からかなりはずれた元気な中西部の町に、新しい雇用者を連れてくる頃合いだった。』

 そして、スペンサーに19992年に大手の食肉包装会社モントフォートが、町の北はずれにある食肉処理場を借りることになった。2年後の1994年、スペンサーはそのブロック最大で最悪の巨大企業を両手をあげて迎え入れた。ウォルマートである。地元の商店主たちは、ウォルマートのスーパーマーケットに反対したが、コンサルタント氏の「彼らと競争したら負けるでしょう。しかし、彼らが提供できない市場の隙間を発見すれば、勝つことができる。たとえば、特別な商品や融通のきく親身なサービスを提供できればです。なぜか? ウォルマートはよりたくさんのお客を町に連れてくるからです。実に単純なことです。」と話し、正しかったことが証明されたが、敗者は存在した。しかし、ダウンタウンの商店のビジネスはあきらかに、上向きになった。ウォルマートは何十年か前の鉄道駅と同じような役割を果たしたのだ。スペンサーはこの地域の代表的な街となったのである。

 1994年にスペンサー図書館も新しい時代に突入した。詳細は本誌を参照されたし。
 『1999年、歴史的遺産であるグランド・アベニューが史跡として登録された。その一帯は、プレイリー・アールデコの驚嘆すべき見本であり、大恐慌時代の郊外計画で残っている数少ない包括的なモデルであると認定された。』
 そしてカジノ施設の計画を却下して、スペンサーの町としての発展の方向性は明確となったのである。

 そして最後に総括的にデューイが担った役割について述べている。
 『現代社会では、何か認められることをしなくてはならないと信じられている。しかも、できたら世間の目の前でおこない、カメラに撮られることが望ましい。
(中略)
 デューイはそういう特別な猫ではなかった。特別な芸はしなかった。誰も彼を世間的に成功させようとしなかった。私たちはアイオワ州スペンサーの愛される図書館猫以上のものを、デューイに期待しなかった。それに、デューイもそれしか望んでいなかった。
 デューイは驚くようなことをするせいで特別だったのではなく、彼自身が驚くべき存在だったから特別だったのだ。彼は一見ごくありふれた人間を連想させた。知り合うまでは、人ごみで目立たない存在。仕事をさぼったり、文句をいったり、分不相応なものを求めたりしない人間。かれらはすばらしいサービスを提供することを信条としている、有能な司書や車のセールスマンやウェイトレスだ。仕事に対して情熱があるので、仕事以上の働きをするのだ。
(中略)
 世の中は個性的で目立ち、金持ちで利己主義の人間に目を向けがちで、ありふれたことをきわめてちゃんとこなしている人々には気づかないものだ。デューイはつつましい生まれだった(アイオワの路地)。悲劇を生き抜いた(氷点下の返却ボックス)。居場所を見つけた(小さな町の図書館)。たぶん、それが答えなのだろう。居場所をみつけたこと。彼の情熱と目的は、その場所がいかにささやかな場所であろうと、すべての人にとってすばらしい場所に変えたのだ。
 返却ボックスに捨てられた長い夜、彼は決してあきらめなかったし、我が家となった図書館に献身的だった。デューイはひとつの英雄的な行為をしたわけではなかった。しかし毎日なにかしら英雄的行為をしていた。ここアイオワ州スペンサーで、一度にひとつのひざで過ごしながら、さまざまな人生を変えていったのだ。』

 町を復興するには、〝デューイ〟的な存在が必要なのかもしれない。それは、猫でも犬でも、人でもいいのではないのか。たくさんの復興の町で、どのような〝デューイ〟が生まれるか楽しみにしたい。


図書館ねこ デューイ  ―町を幸せにしたトラねこの物語

図書館ねこ デューイ ―町を幸せにしたトラねこの物語

  • 作者: ヴィッキー・マイロン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: 単行本




図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語 (ハヤカワ文庫NF)

図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語 (ハヤカワ文庫NF)

  • 作者: ヴィッキー マイロン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/05/30
  • メディア: 文庫





吾輩は看板猫である

吾輩は看板猫である

  • 作者: 梅津 有希子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/03
  • メディア: 単行本



「昭和」という国家  司馬遼太郎箸  NHK出版 [歴史]

 この本は、NHK ETV8という番組での「司馬遼太郎 雑談『昭和』への道」(1986年5月より1987年2月)という表題で、司馬遼太郎自身が語った内容を書籍化した本である。そして、特に生涯こだわった「昭和」という時代、その中でも昭和初期から20年8月までの司馬遼太郎が定義した「昭和前期」に焦点を当てているのである。司馬遼太郎は大正13年生まれであるから、その時代の波を幼少期から青年期にかけて受けて、そして誰もが享受した徴兵として陸軍兵士の生活も送った。

 そして敗戦。その瞬間に感じたことが、作家司馬遼太郎を目覚めさせたようだ。そのいきさつについて、第1章の「何が魔法をかけたのか」の中で詳しく述べている。

 『敗戦はショックでした。
  この敗戦はちょっと説明しなければなりませんが、なんとくだらない戦争をしてきたのかと、まず思いました。そして、なんとくだらないことをいろいろとしてきた国に生まれたのだろうと思いました。敗戦の日から数日、考え込んでしまったのです。昔の日本人は、もう少しましだったのではないかということが、後に私の日本史への関心になったわけですね。
(中略)
 ・・・・・学校の途中から軍隊に入れられてしまったわけです。
 いわゆる満州(現・中国東北部)というところにいまして、そして敗戦の年の半年ほど前、連隊ごと関東地方に帰りました。
 そして敗戦を迎えました。何といいますか、何をしている国かというかんじです。何をしている国かと。
 いったい日本とは何だろうということを、最初に考えさせられたのは、ノモンハン事件でした。昭和14年(1939)、私が中学生のことでした。こんなばかな戦争をする国は、世界中にもないと思うのです。
 ノモンハンには、実際に行ったことはありません。その後に入った戦車連隊が、ノモンハン事件に参加していました。
 いったい、こういうばかなことをやる国は何なのだろうということが、日本とは何か、日本人とは何か、ということの最初の疑問となりました。
 これは兵隊だったころから考えていました。そして敗戦のときに、しみじみと感じました。』

 ここまでしつこいくらい繰り返し繰り返し、太平洋戦争へと突入していった日本国への素朴な疑問を述べていて、これが作家としての作品を通してのメッセージの骨格となっている印象がある。そして、その戦争遂行者たちに対して、

 『ひとびとはたくさん死にました。
  いくら考えても、つまり、町内の饅頭屋のおじさんとか、ラジオ屋のおじさんなら決してやらないことですね。ちゃんとした感覚があれば、お店の規模を考えるものです。
 ところが、こんなばかなことを国家の規模でやった。軍人を含めた官僚が戦争をしたのですが、いったい大正から昭和までの間に、愛国心のあった人間は、官僚や軍人の中にどれだけいたのでしょうか。
 むろん戦場で死ぬことは「愛国的」であります。しかし、戦場で潔く死ぬことだけが、愛国心を発揮することではないのです。四捨五入して言っておりまして、あるいは誤差を恐れずに言っています。
(中略)
 むろん、愛国心はナショナリズムとも違います。ナショナリズムはお国自慢であり、村自慢であり、家自慢であり、親戚自慢であり、自分自慢です。
 これは、人間の感情としてはあまり上等な感情ではありません。
 愛国心、あるいは愛国者(パトリオット)とは、もっと高い次元のものだと思うのです。そういう人が、はたして官僚たちの中にいたのか、非常に疑問であります。』

 ここまで軍人を含めた戦争遂行者の真の愛国心の欠如を指摘し、そして第一章の核心を述べる。

 『日本という国の森に、大正末年、昭和元年ぐらいから敗戦まで、魔法使いが杖をポンとたたいたのではないでしょうか。その森全体を魔法の森にしてしまった。発想された政策、戦略、あるいは国内の締めつけ、これらは全部変な、いびつなものでした。
 この魔法はどこから来たのでしょうか。魔法の森からノモンハンが現れ、中国侵略も現れ、太平洋戦争も現れた。世界中の国々を相手に戦争をするということになりました。
 たとえば、戦国時代の織田信長(1538~82)だったら考えもしないことですね。信長にはちゃんとしたリアリズムがあります。自分でつくった国を大切にします。不利益になることはしません。』

 この記述は、今の原発放射能問題と重ねると同じ事が言えるのではないのか。奇麗な空気、水、土を後世まで残す腹づもりであるならば、事故が起こり制御不能となるような原子力発電所などは絶対に造ろうとしなと思うのである。現代の〝フランケンシュタイン〟を原子力マフィア・官僚・資本家は、絶対安全を宣伝して、造り続け国民をだましたのである。この構図は、司馬遼太郎氏がこの本の中で述べてきた、真の愛国心をもたない、学校秀才が国を滅ぼした構図と全く変わらない。日本は先の失敗の経験を何も生かしていない国民のようだ。この反省なくして、〝頑張ろうニッポン〟は無いだろう。
 先の敗戦に至った経緯についても、日本人による戦争遂行責任者の追求もなく、ただひたすら復興にあけくれ、経済的に豊かになるにつれて、戦争責任追求はウヤムヤになった。今回も真の責任者追求・議論をさけて事を乗り切ろうとしている。国家インフラを民間企業が担って、事故の責任がとれないなら国有化が妥当な選択である。話が横にそれた。国民を戦争に巻き込んでいった〝魔法の森〟の話を続けたい。

 『国というものを博打(ばくち)場の賭けの対象にする人々がいました。そういう滑稽な意味での勇ましい人間ほど、愛国心を気取っていた。そういうことがパターンになっていたのではないか。魔法の森の、魔法使いに魔法をかけられてしまった人々の心理だったのではないのか。』

 次に魔法の森の演出者、主役を指摘する。しかし氏の見方は大局的であり、具体性には欠けるが、この章の核心は、この国がいつのまにか、日本の軍部に支配される、といより占領されていたのだろう、という指摘である。そして、満州の森の主役は関東軍で、陸軍大学校出身者の出世コースは、関東軍の参謀になることになり、軍的な手柄をあげることなり、ひとの国をいっぺん触ると自分の国も触ってしまう。ひとの国をいたぶると自分の国もいたぶり占領してしまった。

 〝統帥権〟という魔法の杖を拡大解釈して、その魔法の森の仕業の為に数百万の日本人、何千万人という他国人を死に追いやったのである。

 このような結果になってしまった理由を、創業者の成功原因、失敗原因を正確に2代目、3代目に継承できない日本の国民性に起因してるのかどうか、結論はだしていない。

 「坂の上の雲」はまさに、明治国家をゼロから造り、軍備面においてもロシアと戦えるまでに整備した為政者、実行者の多くの姿を描いている。そして、日露戦争における勝利でこの小説は終わっている。司馬遼太郎氏は「坂の上の雲」の賢明なる日本人を描きつつ、その続編として、この「魔法の森」に占領されて行く過程を描くために材料収拾して、ノモンハン事件をテーマに据えて、作品化する予定であったが、結局、未刊行となってしまった。「坂の上の雲」のような高揚感を描くことが無理であり、いかにダメ軍人、官僚が多かったことを描くことが精神的にきつかったのか、また、生存者が多く、ノモンハン事件にしても真実が掴みがたく、様々な正反対の議論があることに、嫌気がさしたのだろう。俗に、物理的な〝負け戦〟を、精神的には〝負け戦〟ではないという議論を今でも本で目にする昨今であるから、この議論に疲れ果てたのだろう。
 司馬遼太郎の読者としては、この「坂の上の雲」の続編を是非とも読みたかったのであるが、かなわない夢となった。個別の歴史事件に関する本はたくさん出版されるが、「坂の上の雲」の大正、昭和前期を時代背景にした小説はまだ無いと思う。

 第一章だけで、これだけ書いてしまったが、第十二章まで、昭和前期の時代背景について、論じている本であるが、時々脱線して、明治、江戸時代の話題にも及んでいる。作品を一つでも読んでいる方ならば、必ず反応できる章があるはずである。

 なお、この後に『「明治」という国家』という本も刊行されている。この本の内容は後日。


「昭和」という国家

「昭和」という国家

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 単行本





「昭和」という国家 (NHKブックス)

「昭和」という国家 (NHKブックス)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 単行本



図書館ねこ デューイ 町を幸せにしたトラねこの物語 ヴィッキー・マイロン著 羽田志津子訳 [ノン・フィクション]

 この本の主人公「デューイ」は、世界で一番有名となった実在のトラねこの名前である。1988年1月にアメリカ合衆国中西部にあるオハイオ州にある町であるスペンサーの公共図書館の返却ボックスの中で、小さく冷たくなっている子猫として、当時の図書館長である著者のヴィッキー・マイロンに発見されたのである。そして、「図書館ねこ」として、マイロンをはじめとした図書館スタッフの献身的な愛情に育まれ、デューイが成長するとともに、関わった人々に忘れられない印象を残していったのである。その数々のエピソードが、本書に綴られているのである。

 デューイはその生涯のほとんどを図書館の中で過ごし、休館のときはマイロン宅ですごした。

 何が、特別なねこであったのか。たびたび本書は問いかけているが、特別な能力を外的に示したものではない。一言でいえば、接した人々、老若男女、赤ん坊、幼児、障害者に対して、忘れられない〝癒し〟を与えたことに人々が感動した印象を残したことによる功績である。その「癒し」効果の評判が口コミ、マスコミを通じて知れ渡り、遠くから、わざわざデューイに会うためにだけ、スペンサー図書館を訪れる人々が出現したのである。

 その効果は、実は筆者に多く影響力を与えられたことを告白している。結局、2006年11月に最後を看取るまでデューイの世話を続け、デューイの物語は終わりかと思われたが、さらなる奇跡を生んだのである。デューイの死の知らせが、地元のラジオ局のモーニングショーで追悼し、地元新聞は長い追悼記事を掲載すると、AP電がその記事を取り上げ世界中に配信した。数時間のうちにCBS、NBCのニュース番組で放映され、図書館には次々と電話がかかってきた。それから数日間で、その死亡記事は270紙以上の新聞に掲載されたという。もちろん日本でもニュースで放映された。
 ものすごい認知度である。個人でデューイとふれあった人々の反応も、大きかったという。地元のラジオニュースで聞いた国中の友人や親せきたちから、スペンサーの住人たちは電話をもらったという。

 そこまで影響力を発揮した理由について、本書の中で次のように記述している。

>>>図書館猫のドキュメンタリー映画の監督ゲリー・ローマは、わたしに長い手紙をくれた。そこには、こんなふうに書かれていた。
 「あなたにいったかどうか忘れましたが、国じゅうで出会ったたくさんの図書館猫のなかでも、デューイ・リードモア・ブックスはぼくはいちばんのお気に入りでした。彼の美しさ、魅力、遊び心は実に個性的でした」 <<<

 最後に本書に記載されていたデューイの日課を記しておく。図書館ねことして役割とデューイが特別であったことが垣間見える日課であった。

7:30 ママ到着
食べ物を要求、ただしあまりせかさない。ママがしていることをすべて観察。あとにぴったりくっついて歩いて、ママはぼくにとって特別な人だと思わせる。

8:00 スタッフが到着
全員を調べるのに一時間かける。誰がつらい朝を過ごしたかみつけて、相手が望むだけ、ぼくをなでる権利を与える。または、なでたくなったらなでさせてあげる。

8:58 準備の時間
その日の最初の来館者を迎えるために、正面ドアの定位置につく。うっかり忘れているスタッフに時刻を知らせるというメリットもある。開館が遅れるのは嫌だ。

9:00 ~ 10:30 ドアが開く
来館者にあいさつ。いやな人は無視して、いい人にくっついていく。でもぼくに気づいて一日が明るくなるチャンスはみんなにあげる。ぼくをなでるのは、図書館を訪ねてきた人たちへの贈り物だ。

10:30 昼寝のひざをみつける
ひざは遊ぶ場所じゃなくて昼寝のためのものだ。ひざで遊ぶのは子猫だ。

11:30 ~ 11:45 ぶらぶら歩く
大人向けノンフィクションの真ん中で寝そべり、頭をもたげ、前足を組む。人間はそれをお釈迦様ポーズといっている。ぼくはライオンで、ハクナ・マタタだといっている。意味は知らないけど、子供たちはしょっちゅうその話をしている。

11:45 ~ 12:15 ごろごろ
頭をもたげているのに疲れると、ごろんとあおむけになり、宙に四本足を突き出す。なでてもらうのはかまわない。ただし、眠りこまないこと。眠ってしまうと、おなかを攻撃されかねない。おなかに飛びかかられるのは嫌いだ。

12:15 ~ 12:30 スタッフルームでランチ
誰かヨーグルト持ってる? ない? じゃ、いいよ。

12:30 ~ 13:00 カートに乗る!
午後の担当者が本を棚に戻すときに、カートに飛び乗って、図書館じゅうを移動する。ああ、全身の力を抜いて、金属製ラックの隙間から脚をぶら下げていると、とてもリラックスできる。

13:00 ~ 15:55 午後の自由時間
図書館の様子を観察。照明までのぼっていき、それからひざにあがる。午後の来館者にあいさつして、ママと十分だけ過ごす。毛づくろいは強制じゃないけれど、勧められている。あとは忘れずに、昼寝にぴったりの箱を見つける。いや、忘れるわけがないんだけどね!

15:55 夕食
みんなは夕食は16時だと考えている。ぼくはずっとすわっていれば、いずれ気づくだろう。

16:55 ママ帰る
ぼくが遊びたがっていることを思い出してもらえるように、飛び跳ねる。棚から飛びおり、とんぼ返りをすると、いつもうまくいく。

17:30 遊び
ママは仏陀への道と呼んでいる。ぼくはボール遊びといっている。図書館じゅうをボールをころがすほど楽しいことはない。でも、赤い毛糸は格別だ。ぼくは赤い毛糸がとっても気に入っている。誰か毛糸をぶらぶら揺らしてくれないかな?

20:55 遅番の人たちが帰る
16:55 日課を繰り返すけど、ジョイが遅番じゃないと同じ効果は期待できない。ジョイはいつも紙を丸めて投げてくれる。できるだけ速く紙まで駆けていくけど、たどりつくと、あとは無視してしまう。

21:00 ~ 7:30 ぼくの時間 !
きみたちには関係ないよ、ないしょ。


図書館ねこ デューイ  ―町を幸せにしたトラねこの物語

図書館ねこ デューイ ―町を幸せにしたトラねこの物語

  • 作者: ヴィッキー・マイロン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: 単行本




図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語 (ハヤカワ文庫NF)

図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語 (ハヤカワ文庫NF)

  • 作者: ヴィッキー マイロン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/05/30
  • メディア: 文庫


向田邦子の恋文 向田和子著 新潮社 [人]

 この本は、向田邦子本人が、恋人宛てに書いた5通の恋文が主題の本である。恋文であるから読者を想定しての表現ではない、素の向田邦子の〝女〟としての部分を見せているノン・フィクションものであるといえる。著者は向田邦子の9歳下の実の妹である。
 この本の構成は1部で、向田邦子が恋人であるN氏宛ての手紙、N氏からの返信の手紙、そしてN氏の残した日記からなる。放送作家として認められ始め、忙しく原稿に追われる日々の合間を縫って、甲斐甲斐しくN氏のもとに通い世話をする向田邦子の姿が浮かび上がる。ちょうど、33,4歳ころであると書いてある。向田邦子の世話もむなしく、N氏の自殺でこの恋はおわるのであるが、それ以後の向田邦子の人生観、仕事観を大きく変えたことには、間違いない。
 2部で、この恋文を公に公開することになったいきさつや、妹からみた向田邦子について描写されている。浮かび上がってきた向田邦子像は、大変責任感の強い、男勝りの人であったこと、自分の幸福だけを追求することなく家族全体を思い、N氏とは添い遂げることができなかった理由などが推測として述べている。

 あとがきは、向田邦子を称賛してやまない爆笑問題・太田光が書いている。そんな太田の一文の中に向田邦子の生き方を集約して表現している。
〝向田さんのドラマを観ていて、男は女にかなわないと感じる、その根底には、向田さんの若き日の、この恋の経験がある。死んだ男は負けである。
 誇り、プライド、虚栄心、理想、夢。そんなものの為に男は人を殺し、戦争を起こし、自らも死ぬ。世界を壊すのはいつも男で、今まで戦争を起こした日本人の女は一人もいない。そんな、男が滅茶苦茶にした世界の後始末をするのはいつだって女だった。
 向田さんはいつも、そんな日本の男達と、N氏の弱さと、強がりを〝憎しみ〟と〝許し〟をもって包み込んだ。〟

 この本の中に、N氏が撮影したと思われる向田邦子の写真が収められている。どれも、美しい、女盛りを見事にとらえている写真である。プロカメラマンであるN氏の前で、一人の〝女〟の部分をさらけ出していた向田邦子をとらえているのである。この写真を見るだけでも一見の価値は絶対にある。N氏との死別以後に多くの作品を残しその名を文壇・放送界に残したが、N氏とのこの恋は、彼女の人生に大きな糧となっとことが、よくわかる本であった。
 向田邦子の作品は読んだことがないのだが、少し読みたくなった。



向田邦子の恋文 (新潮文庫)

向田邦子の恋文 (新潮文庫)

  • 作者: 向田 和子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: 文庫





向田邦子全集〈別巻2〉向田邦子の恋文・向田邦子の遺言

向田邦子全集〈別巻2〉向田邦子の恋文・向田邦子の遺言

  • 作者: 向田 邦子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 単行本






向田邦子の青春―写真とエッセイで綴る姉の素顔 (文春文庫)

向田邦子の青春―写真とエッセイで綴る姉の素顔 (文春文庫)

  • 作者: 向田 和子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 文庫



「坂の上の雲」にまつわる2冊「坂の上の雲」と司馬遼太郎、スペシャルドラマガイド 坂の上の雲(第二部) [評論]

 今回は最初に本を紹介しておく。どちらもNHKで放映されたドラマ「坂の上の雲」に関係したガイド本である。


文藝春秋増刊 「坂の上の雲」と司馬遼太郎 [雑誌]

文藝春秋増刊 「坂の上の雲」と司馬遼太郎 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/10/16
  • メディア: 雑誌



NHKスペシャルドラマ・ガイド 坂の上の雲 第2部 (教養・文化シリーズ)

NHKスペシャルドラマ・ガイド 坂の上の雲 第2部 (教養・文化シリーズ)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2010/10/25
  • メディア: ムック



 『「坂の上の雲」と司馬遼太郎』の内容は、大特集として各界識者28名の「坂の上の雲」私はこう読んだ、特集は「その後の秋山好古・真之」、「子孫が語る『坂の上の雲』の登場人物、「坂の上の雲」の脇役たち、そして司馬遼太郎が語る「坂の上の雲」で過去の講演より「薩摩人の日露戦争」と「『坂の上の雲』秘話からなり、トピックとして「『軍神』広瀬武夫・死の真相」が掲載されている。
 感想としては、さまざまな人が様々な解釈でこの「坂の上の雲」が読まれているということの実感と、あの中に描かれた人物の子孫が厳然としているというある種の〝驚き〟。これは、近年物議をかもし始めた「坂の上の雲」の否定論に対して、大きなアドバンテージ、ある種ノンフィクションとフィクションのはざまで生まれた小説であることを物語っているようである。
 一度、全編を読み終えた読者には、新たな視点を提供してくれる本である。残念ながら読んだことにない読者では、何を言っているのか理解不能である。

 さてNHKは、この小説をドラマ化して3年かけて、全編を放映する予定で、ちょうど2部が終了、原本の分量でいえば、8分の3程度の分が終了したことになる。残り8分の5がドラマでは3分の1の分量になるのだが、これはドラマ作成上ではしかたがないのかもしれない。「坂の上の雲は」は日本海海戦の終了とともに終わってしまうのだが、原本では、詳細に陸軍の動きを、会戦ごとに書き、そして何度も主人公の話からそれる。海軍関係もロシアのバルチック艦隊の動きを逐一描写。そして海軍の動きも逐一書き連ねている。ドラマになりにくい箇所も数多くあり、おそらく第3部では、簡潔に主人公たちの日露戦争での活躍を描いて、クライマックスの日本海海戦シーンをいれて終わるのだろう。
 このガイド「坂の上の雲」(第二部)は、司馬の文字だけの情報では分かりづらかったイメージに対して一つのヒントを与えてくれたと思う。登上人物像と地名の風景描写が具体的なイメージを想起させてくれた。今回のロケ地は、すごい。ペテルベルグでのロケとはさすがNHK。VFXも駆使してリアル映像に近いものを見せてくれる。ちんけな民放ドラマでは太刀打ちできない贅沢さを感じる。

 さて、司馬遼太郎はもし生きていて、このNHKのドラマを見たらどのような感想を残したのだろうか。

 テレビドラマは確かに原作を知らなくても、楽しめる。しかし、司馬遼太郎がこの「坂の上の雲」を通してのメッセージは原作を読み込まない限り、近づき理解することはできないだろう。原作には、もっともっとたくさんのエピソードを交えて、明治という時代の息吹、その後の衆愚、指導者の体たらくを嘆いた悲痛な叫びを汲み取らなければならない。

 時間軸で考えると、「坂の上の雲」が描いた時代は、「竜馬の時代」からわずかに30数年後である。そしてこの「坂の上の雲」が発表されたのが、1968年から1972年となるから、かれこれ40年近く前のことである。そして日露戦争に1905年に勝利してから、40年後、1945年は太平戦争の敗戦を招ねいた。この敗戦から、「坂の上の雲」を書き始めるまでが、23年後、日露戦争に勝利してから63年後である。そして今年は、太平洋戦争敗戦から66年目を迎えるが、太平洋戦争を題材とした「坂の上の雲」のような小説はあらわれていない。この時間軸を頭に入れて「坂の上の雲」を読み進めると、司馬遼太郎が何を言わんとしているのかが、見えて気がするのである。
 重箱の隅をつくような〝反「坂の上の雲」〟の動きもあるが、どうでもいいこと(乃木希典の評価、T字戦法の是非、明石元二郎の評価、そして〝司馬史観〟なるものの評価等)をさも重要なことのように論じて、本を出しているが一考駄に値しない。
 何度も読み直すたびに新たな発見をさせてくれる本こそ、現代の古典であると思う。




 

坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)

坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/07/15
  • メディア: 文庫



仕事で大事なことは『坂の上の雲』が教えてくれた (知的生きかた文庫)

仕事で大事なことは『坂の上の雲』が教えてくれた (知的生きかた文庫)

  • 作者: 古川 裕倫
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2009/10/20
  • メディア: 文庫



ショパン、私の恋人 角川マーケティング発行 [文化]

 この本はBS日テレ10周年特別番組「松下奈緒 ショパン、私の恋人。-」の完全書籍化である。
内容は、ショパンがジョルジョ・サンドと出会い、生活を共にした、後半生を過ごした土地を松下奈緒が訪ね、今でも残るショパンとサンドが過ごした家や遺品を通して、ショパンの心情をたどる旅行記でもある。ショパンがサンドと巡り合ったのは、26歳の時、そして亡くなる39歳までを、生まれ故郷のポーランドでなく、パリ、スペインのマヨルカ島、フランス・ノアン、そして最後はパリで過ごした。その地域を美しい風景写真を含めて、数々の遺品、ショパンが弾いていたプレイエルピアノ、国立図書館に所蔵されている自筆の楽譜などの写真も含まれている。最後に、松下奈緒の談話が収められている本である。

 感想として、ショパンの入門本としても、またショパン縁の地としての、スペイン・マヨルカ島、フランスのパリ、ノアンでの観光案内にもなっている。またショパンへの松下奈緒の思い、考え方を知る上でも面白い本となっている。ショパンの曲を弾く松下を知らないので、是非聴きたいものである。



ショパン、私の恋人 Chopin,be my love!    ~松下奈緒 ショパン、私の恋人~

ショパン、私の恋人 Chopin,be my love! ~松下奈緒 ショパン、私の恋人~

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川マーケティング(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/10/23
  • メディア: 単行本



Scene25 ~Best of Nao Matsushita

Scene25 ~Best of Nao Matsushita

  • アーティスト: 松下奈緒,松下奈緒×NAOTO×松谷卓
  • 出版社/メーカー: ERJ
  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: CD



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  • アーティスト: 松下奈緒
  • 出版社/メーカー: ERJ(SME)(M)
  • 発売日: 2009/02/04
  • メディア: CD



ゲゲゲの女房 完全版 DVD-BOX1

ゲゲゲの女房 完全版 DVD-BOX1

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD



ゲゲゲの女房 完全版 DVD - BOX 2

ゲゲゲの女房 完全版 DVD - BOX 2

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD



ゲゲゲの女房 完全版 DVD-BOX3(完)

ゲゲゲの女房 完全版 DVD-BOX3(完)

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD



ドラマ グッジョブ [DVD]

ドラマ グッジョブ [DVD]

  • 出版社/メーカー: GENEON ENTERTAINMENT,INC(PLC)(D)
  • メディア: DVD



監査法人 DVD-BOX

監査法人 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • メディア: DVD



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